アートとは残骸である ~ミルトン・グレイザー

「デザインは芸術とは何の関係もない」デザインの生ける伝説「ミルトン・グレイザー」が世界的によくある誤解を払拭

「デザインはアートではない」ということは、デザイナーにとっては常識であっても、あまり一般には浸透していないことと言えます。そんな中、「I Love New York」のロゴを手がけた88歳のグラフィック・デザイナー、ミルトン・グレイザー氏が実践的なデザインの定義について、わかりやすく語っています。

Graphic design legend Milton Glaser dispels a universal misunderstanding of design and art — Quartz

グレイザー氏が語るデザインとは「現在の状態からよりよい状態に変化するプロセス」のことであり、アートとは何の関係もないもの。学校やビジネスにおいてデザインとアートは並べて扱われることが多いために誤解が生まれていますが、デザイナーが担うのは「見た目」や「スタイル」といった分野に留まります。

 

実際のところ、優れたデザイナーは生来的に問題解決能力が高いとのこと。優れたデザイナーはスケッチ帳やPhotoshopを使う前に、目的やオーディエンス、技術的なパラメーター、課題の戦略的なニュアンスを理解しようとします。そのため、デザイナーと仕事をする際にはフォントや色使いについて議論する前に、「ゴールは何なのか」ということについて話を行うことが重要です。

 

グレイザー氏のようにドローイングを得意とするデザイナーも存在するため、誤解が生まれやすいのですが、デザイナーにとってドローイングやスケッチのような作業は「思考方法」の1つ。数学者が黒板に数式を書き連ねるように、ロゴ・家具・ウェブサイトなどのデザイナーもクリエイティブな解決策を探るために視覚化を行っているのだとのこと。アーティストとデザイナーは作品を生み出すためのツールや方法は似ていますが、やろうとしていることは大きく異なります。

by Tim Mossholder

アートが持つ力は不可思議なものであり定量化することはできませんが、一方で、デザインの効果は「クライアントのゴールをどれほど達成できたか」ということで測定可能。グレイザー氏は「年齢を重ねるごとに、デザインとアートの違いがはっきりしてくるでしょう」と語っており、デザインとアートはそれぞれ別の目的を持っているとしています。

なお、グレイザー氏がデザインについて語る様子は以下のムービーから見ることが可能です。

ミルトン・グレイザー: デザインでアイディアをー新する | TED Talk | TED.com

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